先だって庭で一際目立つ植物が目に留まりました。キク科アザミ亜科オオヒレアザミ属のゴロツキアザミです(学名Onopordum acanthium)。
高さ2mほどで、およそ拙宅の庭にマッチするようなシロモノではありません。不審に思って家内に聞きましたら「同僚のマークからアーティチョークの種をもらったので昨年植えたんだ」という返事。しかし目の前の植物はどうみてもゴロツキアザミです。ドイツヴェレダの薬草園で日本人の来客があるたびに小生が通訳として引っ張り出された関係で、インパクトが強烈だったハーブはいまだに覚えていまして(不用意に茎のトゲに触れて痛い目に合いました)、その一つがゴロツキアザミです。ドイツ名を「ロバのアザミ(Eselsdistel)」といい、かようにトゲだらけの花を喰らうのはロバしかいないという説明と、高さ2mで地上部全体(つまり花、茎、葉)トゲだらけという偉容で一度見たら容姿も名前(ゴロツキおよびロバ)も決して忘れることの(でき)ないハーブです。
一方、アーティチョークの和名はチョウセンアザミで、ゴロツキアザミとは近縁種であることがわかりました。こうなるとアーティチョークの実物を見たくなりまして、薬草園で働くコーネリアに訊きましたら、野菜のアーティチョークならあると写真を送ってきました。高さは1mぐらいでしょうか、葉と茎に棘は見られません。
写真でみるかぎり、どうも様子がゴロツキアザミとは違います。野菜用に改良されたアーティチョークなのかなと首を捻っていましたら、家内が「ドライフラワーならあるよ!」と言いながらゴソゴソと紙袋から出してきたのが乾燥した種子付きのアーティチョークです。花だけですので植物全体のイメージがわかないのですが、ゴロツキアザミの花の倍以上の大きさとはいえ、近縁種であることは納得できます。
とりあえずドライフラワーに付いた種をいくつかの苗用の小さな鉢に入れて、成長を観察することにしましたが、種を蒔いてわずか三日で写真のような力強い芽が出てきました。どうやらゴロツキアザミと同じように秋にロゼッタを形成して開花は来年夏となるようです。どれくらいの高さになるのか、ゴロツキアザミとの比較が今から楽しみです。
(2021年8月)









