今回のテーマの植物は日本で自生していないせいか、固定した和名がなく、『シーバックソーン』(英語Seabuckthornの音訳)、『サジー』(中国語 沙棘の音訳)、『ヒッポファエ』(ラテン語名Hippophaeの音訳)などと呼ばれていますが、ヴェレダジャパンでは『ヒッポファン』としています。この中でサジーがどうやら一番よく使われる名称のようですので、以下『サジー』とします。
拙宅では庭に植える植物に関しては主に家内が選択し、小生は「よきにはからえ」という態度をとっておりましたが、気がつくとルリジサ、エキナセア、ラベンダー、ヤグルマギクなど、ミツバチが好んで飛来する花が圧倒的に多いです。小生は草花よりは灌木が好みで、特にサジーの生育ぶりを観察してみたいという願望はかなり前からありました。しかし家内は土壌が合わない(サジーは砂地を好みますが拙宅の庭はローム層です)という理由で難色を示し、加えて贔屓にしている園芸業者が「サジー?なんでそんな無粋なものを?植えるとなれば真ん中に雄木、両隣に数本の雌木ということになりますが、そんなことしたらせっかくの庭が殺風景になって台無しですぜ。やめときなさい!」とバッサリ。「そういわれてみれば以前テュービンゲンの植物園でみたサジーはたしかにトゲだらけでつまらなかったよね…あ、私の姉の家の庭にも確かサジーがあったな…あまりいい印象は受けなかったけど」と家内は園芸業者に相槌を打って小生の希望が却下されてしまったのが数年前の話です。
テュービンゲンの植物園で見た高さ4mほどのサジー。春先でしたので実がなく“無粋”です。
こちらは家内の姉のところにあるサジーで、秋の写真ですので実がついております。
そして先だって、家内の叔母および妹から「好きなものを買ってね」と誕生日プレゼントとして金一封を渡されました。ここでハタとサジーを思い出し、納得しかねる家内を「4~5mの高さになるようなものではなく、成長しても2m以下のミニ版のサジーにするし、雌雄一対だから庭が殺風景になることはない」と強引に説得して件の園芸業者を通さず通販で購入。サジーのペアの苗木を入手してから庭に移植するまで諸事情で一ヶ月かかり、折から落葉の季節で、家内は「この木、大丈夫?」と心配顔ですが、サジーは非常にバイタリティに富んだ灌木ですので小生は楽観しています。
なぜ小生がこのサジーに関心を持ったかといいますと、まずはその容姿です。ふつう木はまっすぐに育ちますが、サジーは出てくる枝が四方八方に広がり、枠にとらわれない勝手気まま(と思えるような)育ち方に共感を覚えます。冬場に落葉して実だけが付いているサジーの木はそれだけでもうオブジェだと思えるのですが、これはあくまで小生の主観です。まだ苗木ですので上に向かって伸びでいますが、どのくらい経つと縦横無尽に大きくなっていくのかとても楽しみですし、雌雄異株ですのでそれぞれの花の違いも見てみたいと思います。
(2021年11月)