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マニフォールド(Manifold)

5年毎にドイツ中部の街カッセル(Kassel)で催される国際現代美術展「ドクメンタ」が15回目を迎え、6月中旬から100日間にわたって開催されていましたが先月(9月)25日に最終日を迎えました。
通常、この美術展には名を成した芸術家が出品するのですが今回は全く趣向が違いまして、アジア、アフリカ、南米などのあまり脚光の当たらないアーティストが弾圧や圧搾、貧困などの不合理に立ち向かうべく、芸術を通して抵抗する作品が多いと聞き及んでいましたので、出向くことを躊躇したのですが、この美術展には毎回欠かさず足を運んでいますので正味1日半のカッセル滞在を決行しました。

で、一番印象に残ったのはメキシコ人アーティストで17年間バルセロナで芸術活動を行っているというエリック・ベルトラン(Erick Beltrán 48才)氏の作品です。

広い空間にこの大きな作品だけが宙づりになっていて、もうとにかく圧倒されます。
「一体何なんだ?」と訝りながら赤いパネルを読んでみたのですが、「立体化したメビウスの帯」とか「空間における動きを表す無限の平面」という箇所を読むと、どうやら四次元と関連しているようです。一方家内は全く違った印象を受けたようで「心臓かな?」と一言。人間の体の中の流れを心臓を中心として8の字に流れると考えるとメビウスの帯との関連がみられるように思えました。

ちなみにこの作品のタイトルは英語で“Manifold”(多様性)。“unity“(一体性)と“multiplicity“(多体性)の関係を考察しているという解説が、とある新聞の文化欄に載っていました。作品の表面には様々なモチーフが刻まれていますが中は空洞です。ということはManifoldは表面にあるということでしょうか?どうもよくわかりませんがとにかく惹きつけられます。
なお素材は金属に見えますが実際は合成樹脂で、スペインのカタラーニャにあるパレードや演劇用の仮面を製造している工場で作られたとか。よく考えれば、もし金属製なら数本の細いプラスチックの紐で天井から吊り下げることは不可能です。

今回のドクメンタには大小合わせて30余りの会場があり、上記のManifoldは墓標埋葬文化博物館(Museum für Sepulkralkultur)の3階に出品されていました。メイン会場ではなく市の中心地から少しはずれたところにあるこじんまりとした博物館で、名前が名前だけにここまで足を延ばそうとした人は多くないと思います。小生にとってManifoldに出くわしたことは大きな出来事で、つくづくカッセルまで出てきてよかったと思いました。(2022年10月)