昨年の師走上旬、久しぶりに2泊3日で家内とミュンヘンに出向きました。
きっかけは長男家族がミュンヘン市内で引っ越して3年経つのに、我々がまだ彼らの新しい住まいを訪れていないという指摘があったからで、バードウォッチングも念頭に置いて交通機関はクルマではなく列車を利用しました。
ミュンヘンにはニンフェンブルク宮殿(Schloss Nymphenburg)にバードウォッチングに適した広大な庭園があり、ここを本拠とする自称セミプロ写真家の長男の案内で寒風吹きすさぶ午前中、2時間半ほど歩き回りました。
家内のお目当てはフクロウでしてドイツ語ではフクロウにはKauzとEuleという二つの単語があり、曖昧ですがKauz(カウツ)は丸顔で小さい、Eule(オイレ)はKauzよりも体も顔も大きいと区別できるようで、この日見れたのはKauzだけでした。しかしKauzだけでも生のフクロウを双眼鏡でじっくり観察できたということで、家内は大いに満足していました。長男は双眼鏡を用いることなく、地上約5mほどのところにある枝の穴に潜んでいるKauzを見つけていたのには感心してしまいましたが、「あのKauzはよくあそこにいるんだ。この庭園の常連たちは名前を付けているよ」と、こともなげに言います。しばらくするとKauzが穴から出てきました。彼が撮った写真を添付しましたが望遠レンズでもブレずにしっかり写っているのを見るとセミプロと自称するだけのことはあります。
あとカワセミや日本ではあまり見られないオカヨシガモ(Schnatterente)なども見られました。
フクロウよりも強烈なインパクトを小生に与えてくれたのはビーバーです。
目ざとい長男は作業中のビーバーを見つけていいタイミングで写真を撮っていました。ビーバーの前歯上下2本がオレンジ色なのをご存じでしたか?この色は木に含まれる鉄分が歯の表面に沈着することによるもので、前歯の摩滅を防ぐとされています。
ビーバーには天敵が殆どおらず、増えるばかりで過剰に木が倒されてしまうということで、それを防ぐために木の幹に針金を巻き付けてありましたが、あちこちにビーバーの「作品」が見られました。すさまじいスピードで齧るようです。なお一番右の写真は長男が数日前にミュンヘンを流れるヴュルム川(Würm)の上流で撮影したものです。ビーバーは静かな水辺ならどこにでもいるということでしょうか。グミュントではまだ見かけませんが、10km離れた小村に出没しているようですので最早時間の問題です。
ビーバーはドイツでは法律で保護されていますが、林業および農業関係者にもたらす被害は大きくなるばかりで、環境保護団体との交渉は政治がらみとなっていますが双方にとって納得できる妥協案が望まれます。(2023年1月)