古代ローマ人デー

先月のある週末、グミュントの隣町であるアーレン(Aalen)で、「古代ローマ人デー(Römertage)」と題したイベントが9年ぶりに催されました。古代ローマ人はアルプスを越えてドイツからイギリスまで勢力を伸ばし、原住民との境界(リメス=Limes)を張り巡らせて要塞を守っていました。特にドイツ南部にあるリメスが著名でユネスコの文化遺産として認定されており、その中でもアーレンの要塞は特に大きかったようです。現在、アーレンは人口5万人ほどのこじんまりとした街ですが、リメス博物館、考古学公園、温泉など、リメス関連の建物が多いです。

会場に入りますと古代投石器や古代クレーンなどの大きなものから、ガラス工房、穀物粉砕石、工芸品などのいろんなブースが並んでおり、店頭に立って説明しているのは古代ローマ人の衣服をまとった地元の皆さん方で、兵士に扮した方々も結構おいでで、古代ローマ人の集いといった雰囲気はよく出ていました。印象に残った物件をいくつかご紹介いたします。

古代投石器:実演では直径25cmほどの球状のモノ(安全の観点から石ではないと見受けました)を弾き飛ばしておよそ50m先のついたてに命中させていました。操作が難しいようでいつも命中するとは限らないとの説明がありましたが、5発撃って4発当たっていました。

古代クレーン
この実演は面白かったです。多くの綱が絡まっていますが一番上の綱は直接石のブロックにつながっており、その下にはいくつかの滑車が絡まった多くの綱が見られます(写真右)。

そして踏み車の中には男性が一人入って踏んでいまして、これが唯一の動力源です(写真下)。

このような円形の踏み車と滑車を組み合わせたクレーンは古代ローマでは実際に用いられていたようで、ある墓石に施されたレリーフには寺院の切妻部の装飾部を持ち上げているクレーンが彫られていて、踏み車の中には5~6名が入っています。このレリーフは西暦1世紀末のものであると解説板にありましたが、今から2000年ほど前にこのようなクレーンが使われていたというのには驚きました。

当時の庶民生活を伝えるブースでは理髪師、ガラス細工師、石工などが作業していました。石工が作っているのは穀物を挽くための石輪です。

いくつかのブースにはラテン語の看板が掛かっていました。さすが凝っていますが、意味は全くわかりませんでした。

そして最大のアトラクションは地元の皆様方がローマ人兵士に扮して会場内を行進したことでした。「止まれ!」、「歩め!」、「突撃!」などはラテン語(?)で叫んでいたようです。

晴天に恵まれ、多くの人々が家族連れで訪れてイベントは大成功だったと見受けました。今月も各地でいろんなイベントが催されます。マンハイムではドイツで一番規模が大きい「連邦ガーデンショー(Bundesgartenschau)」 が春先からずっと開催されています。グミュントからは日帰りできる距離ですので近々見に行く予定です。(2023年10月)