スイス鉄道時計の掛け時計

ほぼ30年間、小生と時を共有してきた、スイス鉄道時計をモデルにした掛け時計(直径25cm)が動かなくなってしまいました。その間、5回の引っ越しがあり、3年間の日本単身滞在中も一緒でしたので、衝動買いだったこの掛け時計との出会いを思い出しました。

購入したのはスイス鉄道バーゼルSBB駅の構内の店で、スイス本社への出張を終えてグミュントに戻る途中でした。とにかく大きくてゴツい印象が強烈で、長針短信もことのほか太く、数字は一切なし。そのかわり分刻みの線もはっきりしていて何時何分とすぐに分かります。所持していたスイスフランを全部叩いて購入できたのは幸運でしたが当時のレートで1万円ほどだった記憶があります。
それから少し経ってから、この掛け時計がモンディーン社のものでデザインはスイス鉄道のエンジニアであったヒルフィカーという人が1944年に設計した結構著名な時計であることを知り、道理で強烈なインパクトを受けたわけだと納得しました。そしてドイツとオーストリアの鉄道のホームにも似たようなデザインの時計があることに気づいたのですが、スイス鉄道のオリジナル時計ほどのインパクトを受けず、どうも全体的に線が細い印象で、おそらく亜流だからだろう…と思っていました。
爾来30年、ふとスイス鉄道とドイツ鉄道の時計の相違はまだあるのだろうかと思い立ち、グミュントの小さな駅にある時計を見て驚きました。小生の止まってしまった掛け時計と、秒針の形が違うだけで他はほぼ同じで、しいていえば以前と違ってドイツ鉄道の時計の方が時と分を示す線がスイス鉄道のものより太い長いくらいで、記憶とは逆です。念のためスイスのバーゼルSBB駅のホームにある時計の映像と比較しても同様に感じました。スイスとドイツの鉄道時計がさらに似通うことになるのは避けてほしいところです。

急行がグミュント駅に停車中でした

ホームの鉄道時計を拡大しました

黄ばみはかなり深刻でした


なお、動かなくなった掛け時計は処分することにしました。年季を経て文字盤がかなり黄ばみ、秒針の刻む音が気になることもあり、新しいものに買い替えるのなら電波時計機能を有するものがよいが大きさはそのまま(直径25cm)ということで珍しく家内と意見の一致を見ましたので、デザインものではなく、極めてシンプルなもの(=安いもの)を選びました。サマータイムが10月下旬に終わりますので、今年は少なくとも掛け時計に関しては大いに手間が省けます。(2023年9月)