先回スイスのバーゼル在住の娘家族を訪問した際、7才の孫娘からシュヴァルツヴェルダー キルシュトルテ(直訳すれば『黒い森』のサクランボケーキ)を所望されたのですが、高さはおよそ10cmほどの嵩張るトルテで生クリームをふんだんに使いますので衛生面でも問題があり、およそドイツから持参できるような代物ではありませんので、ケーキの部分だけを拙宅で焼いて持ち込み、サクランボ、生クリームなどは現地調達という妥協案で孫娘の目前で作りました。
ケーキはチョコレートベースでスポンジケーキよりは幾分固めです。
かなり「いびつ」ですが直径26cm高さ6~7cmであればOK。
① まずこのケーキを水平に3等分に切ります(コツと集中力が要りますので担当は小生です)。
② そして一番下のケーキにあらかじめ作っておいたサクランボゼリー(瓶詰のサクランボ2瓶、寒天、砂糖を混ぜて熱したのち室温にしたもの)をまんべんなく置き、さらにホイップクリームを乗せます。
③ その上に2枚目のケーキを置いてサクランボジェリーとホイップクリームを加え、3枚目のケーキを置いて、ほぼ出来上がりです。
④ あとはホイップクリームをケーキ全体に塗ってケーキの地を見えないようにし(ケーキがいびつでも構わないと言った理由がここにあります)、サクランボと細かく砕いたチョコレートをあしらって完了です。
家内、娘、孫娘、3人がかりで作ったトルテを食べてみたのですが、孫娘ががむしゃらに食べる傍らで家内が「どうも味がいまいち」と言い出しました。
原因はサクランボで、シャッテンモレレ(Schattenmorelle)という種類のものでなくてはならないのですが、バーゼルのスーパーでは「そんなもの知らない」といわれ、ライン川を渡ってドイツのスーパーに行くと、年配の店員に「シャッテンモレレはSauerkirsche(酸果サクランボ)のことだ」と断言されて、止むなく娘は「無いよりマシ」と普通のSauerkirscheを購入したようです。家内は「SchattenmorelleとSauerkirscheの違いが判らないなんてあり得ない」と憤慨していましたが、孫娘は大いに満足していましたので良しとしました。
なお通常はキルシュヴァッサー(Kirschwasser)と呼ばれるサクランボの蒸留酒を加えるのですが、孫娘を考慮して省きました。蒸留酒の軽いアクセントが欠かせないケーキですのでいささか残念に思いましたが、別の機会を待つことにします。(2023年3月)